当代きっての物書きの両雄がここに。

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1.本の紹介

もとはといえばNHKの記者出身である池上彰さん、そして「読売新聞」の一面を下から読ませることでおなじみ「編集手帳」の竹内政明さん。

どちらも文章をつむいで読者に響かせる力には卓越されていて、感嘆としてしまうものです。

その両雄による頂上対決となる対談がこちら。

文章で人の心を震わせたいあなたなら、読まずに死ねない、ぜったい。

2.本の要約、3つのポイント

1)ブリッジで惹きつける

面白い話というのは、身の回りの半径2〜3メートルで起きていることを題材にするのがもっとも面白くなるようです。

なぜなら、自分の耳目にあまるような内容だと、書いたとしてもリアリティに欠けて共感を得にくいからにあって、その自分が体験した出来事を伝えたい事実につなげていく「ブリッジ」をうまく作ることが、文章構成の第一歩になります。

ブリッジになるための部品(言葉)を多く集めるように知識を得ていくことが、いい文章を書き続けるためのトレーニングでもあります。

2)伝わる表現を手にするために

今から書こうとすること、伝えたいと思っていることが自分自身の理解に及んでいることがまずもって重要です。

わかっていることを、わかっている言葉で書くことが相手に伝わる表現につながっていきます。

わかっていないことを伝えようとすると、書いた本人でさえもよくわからないような文章に仕上がってしまいます。

だからこそ、テーマに選ぶ文章は自分がきちんと理解できたものであることが肝要です。

そこから先にあるのは、あくまでもテクニックです。

3)珠玉のまえがきとあとがき

本書の冒頭には、池上彰さんのまえがき、最後には竹内政明さんのあとがきがあります。

それぞれ対談を終えてのお互いの感想がまとめられていますが、本編を読む前にまずはこの両雄の心の叫びを読んでいただきたいのです。

特にあとがきにある竹内政明さんの言葉には、池上彰さんの手によって骨抜きにされた(と自戒する)竹内さんの心情がさすがの文章で表現されています。

 

3.本から学ぶ、3つのキーワード

1)「結論よりも書き出しを」

書こうとするテーマを決めたら、次に書き出しを決めます。

そして、テーマと書き出しをつなぐブリッジを探します。

2)「毒舌は名文である」

毒舌を言うということは、その人についてわざわざ「技術」を使って表現することゆえに、「リスペクト」が、愛があります。

3)「悪文退治」

巧みな文章をつむぐ人の手から「この表現は嫌いだ」とか「避けたい表現だ」とあれば、以降はその言葉を多用することに躊躇するようになるでしょう。

それは、手を封じられたと思うよりも、より個性的な文章を手にするためのきっかけと捉えるほうがよさそうです。

 

4.本から実践、ひとつの行動

『自分なりの避けたい表現をさがす』

安易な決めセリフに逃げてしまうと、文章だけではなくて書き手が浅く見られるような気がします。

 

5.ご紹介した本の情報

6.スギコラム(読後感想)

毎日1冊の本を読んで紹介するという行為も、日によっては気分の乗らない日があるものです。

選んだ本が難しすぎることもあれば、読んだにしてもどうまとめればよいのかがわからなくなってしまうこともあります。

いずれにしても、本を十分に受容できない懐の浅さと文才の無さを突きつけられる瞬間です。

いわゆる「文章読本」と言われる本を読むと、無性に文章を書きたくなります。

そしていざ筆を執る(キーボードを前にする)と、果たして己の文才のなさに突っ伏してしまうのです。

文才のある人、読者を魅了させる文章を紡ぐ人はなにも持って生まれた才能があるわけではなく、文章を愛し、文章に愛された才能が相乗的に花開いたものであって、そのための努力やうんちく、思い入れは並々ならないものがあります。

池上彰さんにせよ、竹内政明さんにせよ、きっとそういう日があるには違いないとは思うのですが、それをカバーするのが引き出しに多く蓄えられた部品となる言葉の数々。

ブロガーとして、はたまた本を紹介するひとりの読書家として、雲の上の存在と言っても過言ではない池上彰さんと竹内政明さんのご活躍を嬉しく思いながら、我もいずれその力を得たいものと願いつつ、今日もこの本をご紹介しています。