子どもの頃、電話帳くらいの厚さがある時刻表を眺めながら、最寄りの駅からの脳内列車旅行を繰り広げて妄想していたことを思い出します。

1日でどこまで行けるんだろう。
どんな列車に乗れるんだろう。
深夜の列車ってどんな雰囲気なんだろう。

いまだにそのころのドキドキワクワクを思い出すことは容易です。

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「テツ道」とはテツの道を極めること

旅行作家の野田隆さんによる『テツ道のスゝメ』という本書は、新聞紙上で連載されていた58編に新録2編を含めた60編の、列車とそれにまつわるエピソードをふんだんにまとめた「テツ」の世界への案内状とも言える内容になっています。

「鉄道」と書けば、交通機関としての鉄道。
「テツ道」と書けば、乗り物としての列車をこよなく愛し、探求する心を持つ人のことを指します。

だから、本書のタイトルは『テツ道のスゝメ』。

なにも列車のことだけにとどまらず、たとえば駅周辺のスポットであったり、廃駅になった地域をしのんだりもされています。
乗り物としての列車から広がる情景描写は、その列車に乗り込んで、その場に足を踏み入れた人のみが語ることを許される「テツ道」の趣として堪能してください。