「スギさん、広島北インターの近くにある団地にどら焼き屋があるって知ってます?」
と聞いたのは約半月前のこと。
広島北インターといえば、広島市街中心部から車で1時間はかかる場所。
そこにどら焼き屋が、しかも団地にあるの?
にわかに信じられずにいつつも、いやいや検索してみようではないかと・・・あ、ある。
というわけで、今回はこちらをお伺いしてきました。
どら焼き工房 さの屋 〜 文明堂で培った腕を趣味に変えて、郊外でどら焼きをつくる男性の物語(広島市安佐北区)
広島市街中心部から可部方面に向かい、そのまま広島北インターへと向かいます。
インターチェンジを越えたらすぐ「ふじビレッジ」という団地へと続く交差点があるので、そちらへ進みます。
なによりも、その交差点にはすでに「どら焼き」ののぼりが3本。
すでにここからして期待が高まります。
そして団地に差し掛かると、団地の地図とともにここにもまた「生どら」ののぼりが。
この看板にもすでにお店の名前が大きく載せられています。
こういう、郊外にある隠れ家的なお店というのは、目的をただそれひとつにしぼってからぐんぐん向かっていくからこそ、異様なまでの期待感の膨らみになるんですよね。
しかも郊外の団地で、ほぼ最深部にあるとなるとそれだけにプレミア感満載です。
狙ってやっていることではないかもしれないけれども、これもりっぱなマーケティングですよ、本当に。
さて、地図を横目にすればお店はすぐ。
団地の中にある住宅の合間に突如として出現したお店がこちらです。
5坪くらいの作業場兼店舗がこちら。
小上がりの階段から店内に入ると、対面販売式のスタイル。
不在のときに押す呼び鈴を押してから、メニューを眺めます。
するとほどなく店主の男性が登場です。
文明堂で働き、この地で9年
店主に「すべてのどら焼きを1個ずつ」とオーダーして、やっとこの店に来れたという喜びを素直に伝えると、半ば恐縮されたように「わざわざここまで来てもらってありがたいです」というお返事。
聞けばやはりウワサがウワサを呼んで、多くの方がおいでになっているそう。
ご本人は趣味だから、ままごとみたいなことだから、とはおっしゃっていました。
しかし、窓越しに見るていねいに掃除された作業場内には、しっかり使い込まれた生地焼き用の銅板があり、ただのままごとではないことは一目瞭然。
元はカステラの文明堂でお勤めをなさっていて、その後にお店を構えられたそう。
聞けば9年もやっていらっしゃるということですから、それはもう筋金入りですよね。
僅かな時間でしたが、楽しくお話を聞かせてもらい、どら焼きを手に帰宅しました。
どら焼き工房 さの屋「どら焼き」
すべてのどら焼きを箱につめていただきました。
皮の大きさはだいたい直径8センチくらい。
よくある大判のどら焼きとは違う、小ぶりなタイプです。
しかし、その皮のお味といい、餡とのバランスといい、おいしくいただける一品でした。
こちらが生どら「苺クリーム」。
苺のフレーバーがきっちりと前に出ていて、ちょっとぜいたくな甘味として成立しています。
こちらが生どら「珈琲クリーム」。
コーヒーの苦味が損なわれることのないようなテイストで、ちょっと甘めでしっとりとした餡にマッチしています。
個人的にはこれ、大好きだなあ。
そしてこちらが、定番の「つぶあん」。
パッケージには「大納言小豆」と書かれているので、餡にもこだわっていらっしゃるのがよくわかります。
味は言うまでもなく、お茶うけにも手頃なサイズですし、お店の立地もあわせて話題性たっぷりのどら焼き。
わざわざ足を運ぶ、というのはまさしくそのとおりでしたが行ってよかったと思えるお店でした。
ごちそうさまでした!