仕事ができても評価をしてはいけない社員とは?
1.本の紹介
部下に「どうして仕事ができないんだ」と嘆く社長やマネジャーは、まずは自分の仕事のありかたと部下との接し方を見直す必要があります。
部下が会社の方針に従わないのは、社長やマネジャーのやりかたが正しくなく、伝わっていないから。
それができる組織だけが、大きな成果を手にすることができます。
2.本の要約、3つのポイント
1)「優秀な社員」が入ってくるのは、もうあきらめよう。
人材不足、思うようにいかない会社づくり、そこに会社の理念や方針があったとしてもこれらが解決しなくては経営はうまくいきません。
しかし、人材不足は解消の様相を見せることもなく、即戦力と言われる社員の登場は、ものすごく低い可能性のなかにある希望の見えない将来です。
それであるならば、今いる社員を信頼して「仕組み」と「やりかた」を見直し、「社員の資質」に頼らない経営を目指しましょう。
2)赤字社員なんていない
冒頭の定義で、赤字社員は「会社の方針に従わないもの」、逆に黒字社員を「会社の方針にすぐ従う人」としています。
つまり、赤字社員、黒字社員という定義はあくまでも社員個人個人の資質に問題があるというものではなく、その方針をいかに伝え、実行させるように「仕組み」と「やりかた」をルール化しているかという、社長や経営者に対しての問いかけです。
たとえば、優秀な資質を持つ個人が仕事をしている環境は、その人に仕事が付随していると考え、いい環境ではないとします。
また、経営者ではない社員にも数字意識をもたせることが、仕事を「他人ゴト」ではなく「自分ゴト」と捉えるためにも重要なこととしています。
3)仕組みとやりかたのための5つのステップ
「仕組み」と「やりかた」は、それぞれのステップがあります。
・組織のむかう目的地を設計
・社員教育を設計
・コミュニケーションを設計
・環境を設計
・数字を設計
この5つを設計し、事業計画として推進させながら年を重ねるごとにゆるやかなアップデートをしていくことが永続する企業、すなわち成功し続ける企業であるとしています。
3.本から学ぶ、3つのキーワード
1)「ウサギは赤字社員」
昔話「ウサギとカメ」の話を引き合いに、著者は「ウサギは赤字社員」といいます。
ウサギが負けた理由は、カメに勝つことを目的としていたから。一方のカメは、ゴールすることを目的としていたから。
このスタート時のモチベーションが、招くゴールを違うものにするというたとえに使っています。
コツコツと継続するにも、その果てを正しく設計する必要があるということです。
2)「お客様の評価はマルかバツでしかない」
お店に来店されたお客様は、そのお店を点数で評価しません。
良かったか悪かったか、そのふたつです。
3)「時を守り、場を清め、礼を正す」
教育学者、森信三さんがのこされた「職場再建の3原則」がこの言葉です。
時間、予定を守り、掃除、片付けを丹念にし、相手に礼を尽くす。
このことを基本として、会社は変わりゆくという言葉です。
4.本から実践、ひとつの行動
『場を清める(整理整頓)』
整理、整頓は本書で「環境整備(5S)」として取り上げられています。
整理・・・モノを捨てる
整頓・・・必要なものを整える
これを実践して、仕事の精度を高めます。
5.ご紹介した本の情報
6.スギコラム(読後感想)
この本の著者、金村秀一さんとは3年半前にお会いして経営のあり方を勉強させていただきました。いまでもメールマガジンを継続して購読しており、つねに私のビジネスマインドを刺激してもらっています。
自責思考で関わらなければ、相手に本当に伝えたいことも届かないという思いでいると、いつまでも学びと実践の繰り返しでしかヒトの、ひいては組織、ビジネスの成長はあり得ないことを痛感します。