書評

築地の記憶は、もっと多くの視点から記録されてもいい。

投稿日:2016年6月16日 更新日:

築地市場といえば、
東京の胃袋だなんて呼ばれたりもする。

そんな築地市場は今年11月に、
築地から豊洲へと移転するそうだ。

個人的な話になるが、
仕事で東京にホテルを取るときには、
東京メトロの日比谷線か
大江戸線の沿線に予約することが多い。

それは単に、早起きをして
築地市場へ行きたいからに他ならない。

ワクワクとドキドキと、江戸っ子の心意気

早朝の築地市場というのは、
ものすごくワクワクする気持ちと、
門外漢を受け入れ難いという
独特の空気感がピンと張り詰めている。

縦横無尽にターレが往来する
市場を歩いていると、
ああ、これが江戸っ子風情なんだという
魚河岸の人たちの威勢に酔うことさえある。

きょう紹介する本の著者は、
15年間にわたって築地市場で
勤務をしてきたという人物。

河岸の気風に惹かれて、
聞き取り調査をフィールドワークとして
築地の何たるかを形作ってきたという。

時代が進化しても、
昔から受け継がれてきた
実力主義の魚河岸たちの人生の縮図が
著者の巧妙な語り口と、
数々の写真によってまとめられている1冊。

築地グルメを扱った築地本は
たくさんあれど、
文化人類学、経済学、
いわば学問と歴史という切り口からの
築地本は数多くあるのだろうか。

今の場所での開市も残り5ヶ月弱。

記憶と記録に残る「築地市場」の軌跡を
ぜひ読んでもらいたい。







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