あなたのとなりにいる人も?
1.本の紹介
平気で嘘をつきながら、罪悪感や反省の色がないひと。
ハイリスク・ハイリターンを好んで、生き様もバクチのような人。
いませんか、身の周りに。
そういう人は、身の周りに100人に1人はいると言われます。
その人たちのことを『サイコパス』と呼びます。
2.本の要約、5つのポイント
1)サイコパスとは
もともとは、凶悪な反社会的人格に対してそれを説明するために開発された概念で、日本語では「精神病説」と言われます。
適切な訳語がないなかで、今日の精神医学では「サイコパス」という記述はなく、「反社会性パーソナリティ障害」というのが診断基準になります。
これでもまだ明確なサイコパスとは何かという定義につながるものではないなかで、単なる揶揄の言葉として使われている現実もあります。
しかし、近年の脳科学の進歩が「サイコパス」の実態を明確にしてきています。
2)サイコパスの二つの顔
著者は、サイコパスに「勝ち組サイコパス」と「負け組サイコパス」があるといいます。
一様に、犯罪者のレッテルを貼られやすいという危険性をはらむサイコパスの存在に対して、
実際に凶悪な行動を起こして捕まってしまう存在を後者(負け組)、逆に、我々のそばにいながらも冷徹で他人をうまく利用し、しかしその存在を悟られないようにする前者(勝ち組)のサイコパスが存在するといいます。
「勝ち組」サイコパスは、大企業のCEOや弁護士、舌鋒鋭い論客にもその存在はいるかもしれません。
そう考えると、我々が興味を抱く存在が、危険性の伴わない「サイコパス」かもしれない
ということは多分に考えられるのです。
3)進化するサイコパス
サイコパスの存在は、そうではない人にしてみれば厄介な存在です。
良くも悪くもその性質が、社会的な影響を及ぼす存在になるのですから、満額受け入れられるものではないことは明らかです。
しかし、社会的に影響をあたえるということは、必ずしも悪いことばかりではなく、人類や社会の歴史を振り返ってみれば、時代の転換期、社会が推進していくときには、その存在が大きく寄与していたと考えることもまた自然でしょう。
社会や人類が進化することで、サイコパスもまた進化します。
これは、これから先もまた繰り返されていきます。
4)現代のサイコパス
もしも、スティーブ・ジョブズが「勝ち組サイコパス」だとしたら、信じることはできますか?
プレゼン能力は異常に長けていて、独創的でありながらも、部下に求める要求を高く突きつけるために人間関係がうまくいかない。
しかし結果として、社会に大きな変革をもたらすプロダクトを発信しました。
もしかしたら、彼はそうだったのかもしれません。
著者は他に、ママカーストのボスや、ブラック企業の経営者、炎上ブロガーもそれに含まれるのではないかとします。
そう、我々も意識していなければ知らず知らずのうちにその「サイコパス」に取り込まれる恐れがあるのです。
5)あなたもサイコパス?
素人がセルフチェックすることは困難です。
「サイコパス」にもいろいろなタイプがあるので、一様に評価することは専門家にゆだねるのが適切でしょう。
しかし、いくつかのセルフチェックがあるので、この本を見て試してみるのもいいでしょう。
3.本から学ぶ、3つのキーワード
1)「100人に1人」
アメリカにおいては、全人口の4%がそうであるとしていて、またある基準では「100人に1人」と言われます。
これを当てはめると、日本では120万人の人が我々の生活に溶け込んでいることになります。
2)「良心というブレーキ」
なぜサイコパスができあがるのか、そのひとつには「悪いことをしたら罰を受ける」という道徳性を学ぶことがないために、たとえば成果を上げるためには冷徹な手段を用いてもなんとも思わないといった「良心というブレーキ」が効かない環境が生まれることがあります。
3)「モテるサイコパス」
たとえば、『どういう男性が女性にもてるのか』
という問いに対して著者は「子育てにリソースを割いてくれそうな男性」もしくは「サイコパスの男性」と挙げています。
サイコパスの男性とはつまり、女性にしてみたら特異的ではあってもそれが強烈な魅力に見えることで男性の価値が高まる存在に見えるというところに答えがあるようです。
4.本から実践、ひとつの行動
『サイコパスの多面性を知る』
サイコパスはなにも凶悪犯ばかりではなく、その性質や性格によっては特殊技能として発揮できる場面も世の中には少なからずあります。
異常性のある人を排除するのではなく、より協調性のある社会環境下で共存していくための存在としての「サイコパス」が、どういう立ち位置であるべきかを知るためにもその多面性を知る意味は大いにあります。
5.ご紹介した本の情報
6.スギコラム(読後感想)
そもそもなんでこの本を手に取ったかといえば、「炎上ブロガーはサイコパス」という表記にぐぐーっと惹かれたからなんですね。
私自身もブロガーとして活動するなかで、確かにPVやシェアを意識するような記事を上げることもあります。
まあ、極端に煽ったりすることは自分のキャラではないと感じているので、そういう自分へのものさしのつもりで読んでみました。