昔から歴史は苦手でした。
好きな教科ではないし、学校の評価やテストもいい成績をもらった記憶がありません。
大河ドラマも真剣にみたのは何か1作品くらいだし、それが何だったかも記憶にはないくらい。
それくらい、歴史というものとは距離をおいていました。
そもそもなんでそれほどに歴史と距離をおいていたのかというと、きっとこういうことです。
『子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語』白駒妃登美
共感の生き様が時代を創る
「過去から何を学んだらいいの?」
「史実を覚えるだけのテスト対策なんて意味ないじゃん」
事実、学生時代もそんなことを言っていたような気がします。
ひねくれたものですが、このひねくれ具合がちょうどよかったのでしょう。
今になっていろんな本を読むようになってから、少しずつそれが変わってきました。
その理由はこれ。
「今も昔も、人の生き方には誰かに影響を与える姿があるんだ」
それに気づいたんです。
歴史の偉人が名を残すということは、その生き方や思考、倫理観が多くの人の共感を得て、時代に足跡を残したということ。
言ってしまえば『共感の生き様が時代を創る』ということでしょう。
世界を知る前に日本を知って誇りを持つ
本書のまえがきにあるエピソードで、こんなことが書かれています。
2週間のホームステイにイギリスへ留学した大学1年生の女性。
ホームステイ先のおばあちゃんと話をする中でネルソンと東郷平八郎の名前が出てきます。
どちらも歴史上の偉人として誇るべきだと語るおばあちゃんに対し、ネルソンも東郷平八郎も知らないと答えたその女性は、おばあちゃんにこう言われます。
「十八年間お世話になった国の歴史も知らないあなたが、なぜ、たった二週間で外国の文化を理解できると思うの!?」
(『子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語』まえがき)
おばあちゃんは、自国の歴史の偉人を知って自国を愛し誇りに思うことで、諸外国の歴史にもふれるときにはじめて真の国際人としてのありかたに意味が出てくるといいたかったのです。
なにも国際社会に限った話ではなく、今を生きる我々も、歴史上の偉人がどのように生き貫いてくれたから私たちが暮らす現代がここにあるのかを知るというすべにつながるでしょう。
「子どもたちにこの国の美しさと誇りを伝えたい」
著者の白駒さんがこの本に託された願いです。
子どもの頃から伝記を読んで、歴史上の人物と友達のような距離感で感じてきた著者だからこそ、自らを育んで勇気を与えてくれた偉人に感謝をし、それを伝えるワークショップを全国で開催されています。
歴史の偉人の話を聴く子どもたちの瞳はキラキラ輝いているといいます。
歴史の偉人の生き様がいかに素晴らしいか、それを伝える役目は当然親の世代ですが、時代と時代をつなぐハブとしての役割を親がどれだけ果たすことができるのか。
そうすれば悲観的な話題ばかりで見通しが明るくないようなきらいさえするこれからの将来にも、いくばくかの光が灯ると信じたいものです。
だって、歴史の偉人の話をして輝く子どもの瞳には、まずはその話をすることができる親に向けて希望の光を持ってもらいたいですからね。