MC力とは。
1.本の紹介
日本テレビで数多くのヒット番組を手掛けた著者による、「ずっと活躍する人になる」メソッドをMC力という着眼点からまとめてある一冊です。
自分がセンターに立たなくても、誰からも必要とされる不動のポジションを手に入れたい人に必要なスキルとは一体なんでしょうか。
2.本の要約、3つのポイント
1)「MC力」
テレビのバラエティ番組などの司会者を「MC」と呼びます。
MCとは、「Master of Celemony」の略で、MCによって番組の雰囲気はガラッと変わります。
小さい頃から失敗も成功も分析をすることに熱心に取り組んできた著者は、自身が手がける番組にもMCの選択にはとても重きをおいていたといいます。
そして著者はひっぱりだこのMCが共通して持つ4つの才能を見出します。さらにその4つの才能は、なにもテレビ番組の制作だけではなくビジネスで成功している人は備えているものだといいます。
2)一流のMCに共通する4つの才能
「ギャップ力」でチャンスを掴む
「間抜け力」で誰からも好かれる
「現場対応力」でどんな状況でも前にすすめる
「聴く力」でメンバーやゲストの能力を引き出す
この4つがひっぱりだこのMCが持つスキルだといいます。
しかもこれらの才能は、毎日の習慣を変えるだけで、後天的にスキルアップができるともいいます。
3)自分だけのポジションを手に入れる
MC力といえば、「しゃべる力」を求められるように感じますが、大切なのは「聴く力」です。
しゃべるというアウトプットと、聴くというインプット。MC力にはこれが求められます。
全身全霊で相手の話を「聴く」ことで相手の意図を汲み取り、的確なポジションを取りつつ適切な判断をしていき、盛り上がる道筋を探す役割を果すのもMCです。
これが柔軟にこなせる人がつくるコミュニケーションは現場やチームの雰囲気をよくして、それぞれのメンバーがそれぞれの役割をきちんと果たす良いチームになります。
MC力に長けている人がビジネススキルも持ち合わせるというのは、こういうところに起因するからですね。
3.本から学ぶ、3つのキーワード
1)「MC力はスキル」
明石家さんまさんや笑福亭鶴瓶さんのような、天性の才能を持ち合わせたMCもいますが、もともとMC力というのはスキルであると著者は言います。
つまり、後からでも磨くことのできるもので、普通の人が天才に勝つためのスキルだとも言います。
2)「答えを知っていても、すぐには答えない」
たとえばタモリさんのMC力は、一般人との対話に現れます。
投げかけられた問に対して、相手の思うレベルの答えを即答しません。
そこで瞬間的にがっかりした一般人の顔を見た瞬間に、すかさず本当の答えを持ち出す。
相手の油断を引き出してのMC力に魅了されていきます。
3)「相手に笑いを取ってもらうファシリテート」
くりぃむしちゅーの上田晋也さんは、卓越したファシリテーション能力をお持ちです。
自分が前面に出るわけではなく、ひな壇のメンバーをうまく引き立てながら場を回し、タイミングに応じてピシャリを場を締める。
こうすることで自らがしゃしゃり出ることなく、現場が活性して、かつMCとしての自身の寿命も長くすることに成功しています。
4.本から実践、ひとつの行動
『タモリ倶楽部を見よう』
本書の中でも番組のスタイルを引用されている『タモリ倶楽部』。
タモリさんがゆるいと言われるなかでも、4つのMC力を活かした展開をしているのではないかという目線で観てみることにします。
もともと好きな番組だけれども、俄然興味がわきました。
5.ご紹介した本の情報
6.スギコラム(読後感想)
テレビ番組を、というよりもテレビをほとんど観ない私にとって、MC力という着眼点からのビジネスシーンへの転用についての記述はとてもおもしろく読めました。
センターに立っているように見せかけて実はそうではない、例を挙げたくりぃむしちゅーの上田さんのような例は、明らかにわかりやすいですよね。
MCも経営もその瞬間の意思決定の連続です。
その精度を高めて、共に活動するチームの能力を高めるのは、まさしくMC力=経営力ともいえそうです。
付け加えるならば、意外性をもたらすための「ギャップ力」。
あなたには関わる人をあっと驚かせるような、どんなギャップをもっていますか?