気にも留めることがなければ
そのまま受け流してしまいそうなものを
どれだけ受け止めることができるか。

たとえそれが
誰かに伝えたいという強い意志とは別に
単に日常のひとコマを切り取り続けたものだとしても。

絵本作家、ヨシタケシンスケさんが
いまから14年前の駆け出しだった時代に
自主制作された自身のスケッチ集に
新作を加えて復刻したのが
この1冊になります。

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描きためたものが血肉となって、やわらかく心に響いてくる

ヨシタケさんのちょっととぼけた、
それでもやさしさとやわらかさのある
ラインで描かれた日常のシーンに
ちょっとしたことば、セリフが乗っかって
ただ淡々と続いていきます。

スケッチ集とはいうものの、
ヨシタケさんの作品を知る方にすれば
この本は『ネタ帳』に映るかもしれません。

そのヨシタケさんが描きためた「ネタ」を
それをみる人にとっての笑い、怒り、
哀しみ、楽しみへと
感じられることの喜びが
すなおに「ほっとする」ことができるのを
ただ眺めるだけとしても
そばにおいておきたくなる1冊です。

この本のやさしいところとして、
「活字が使われていない」というところ。

そして、ヨシタケさんの作画は
約15年経った今も大きく変わっていない
というところ。

これらに気づいてみてください。