築地市場といえば、
東京の胃袋だなんて呼ばれたりもする。

そんな築地市場は今年11月に、
築地から豊洲へと移転するそうだ。

個人的な話になるが、
仕事で東京にホテルを取るときには、
東京メトロの日比谷線か
大江戸線の沿線に予約することが多い。

それは単に、早起きをして
築地市場へ行きたいからに他ならない。

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ワクワクとドキドキと、江戸っ子の心意気

早朝の築地市場というのは、
ものすごくワクワクする気持ちと、
門外漢を受け入れ難いという
独特の空気感がピンと張り詰めている。

縦横無尽にターレが往来する
市場を歩いていると、
ああ、これが江戸っ子風情なんだという
魚河岸の人たちの威勢に酔うことさえある。

きょう紹介する本の著者は、
15年間にわたって築地市場で
勤務をしてきたという人物。

河岸の気風に惹かれて、
聞き取り調査をフィールドワークとして
築地の何たるかを形作ってきたという。

時代が進化しても、
昔から受け継がれてきた
実力主義の魚河岸たちの人生の縮図が
著者の巧妙な語り口と、
数々の写真によってまとめられている1冊。

築地グルメを扱った築地本は
たくさんあれど、
文化人類学、経済学、
いわば学問と歴史という切り口からの
築地本は数多くあるのだろうか。

今の場所での開市も残り5ヶ月弱。

記憶と記録に残る「築地市場」の軌跡を
ぜひ読んでもらいたい。