生まれつきの才能は重要ではない。
1.本の紹介
やり抜く力の重要性、グリットという言葉の意味が日本でも耳にするようになりました。
この本は、イチロー選手に代表される「地道な積み重ねだけがだれも知らないところに到達する」というそのことを内面的、外面的にまとめた1冊です。
類まれな才能は、得てしてやり抜く力の継続でしか手にできないものなのかもしれません。
2.本の要約、3つのポイント
1)「やり抜く力」の重要性
「やり抜く力」とはすなわち、「情熱」と「粘り強さ」にあるといいます。
そこには学力、体力、適性のちがいが問題になることはほとんどなく、たとえ才能にあふれる人間であっても「やり抜く力」が乏しければ結果を出すことはないとします。
「やり抜く力」が醸成される最初の第一歩は、挫折からの継続です。
才能を認められて成果をだしていても、たとえば挫折を経験したところで折れてしまい、継続することを諦めてしまえばそこで終わりです。
だから、才能ある人が結果を出すよりも、やり抜く力を備えた人がだす結果のほうがより大きなものになるのです。
そのために、自分にとっての大きな目標を掲げ、それに到達するまでの小さな行動を目標に変えて継続していくことが「やり抜く力」が育つ方法で、得てして成功している人、結果を出している人が当たり前のことしかしていないと言われるのは、その目標の落とし込み(あるいは小さな目標を人生の目的に束ね直すこと)を行えているからにあります。
2)「やり抜く力」を内側から伸ばす
「好きなことを仕事にしよう」とはよく言われることですが、これ自体は間違っていません。
そのほうが情熱を持って取り組むことができ、そして業績を大きく伸ばせます。
しかし、「好き」を「情熱」に変えるためには、まずはいろいろなものに興味を持って取り組むことが必要です。
特に子を持つ親の場合、親が一方的に押し付けるのではなくて、子どもが興味をもつことに対して気づき、環境を整えるということがその子の「やり抜く力」を見出すことにつながります。
また、成功者はつねに「カイゼン」し続けているといいます。
カイゼンをつづけ、ひとつのことに情熱を持って打ち込み続けることが成果につながります。
よくいわれる「1万時間の法則」もここに当てはまります。
3)「やり抜く力」を外側から伸ばす
子育てにおいても「やり抜く力」を伸ばすためのエビデンスははっきりしています。端的に、子どもに対して厳しい要求をしながらも、その支援を惜しまないという点です。
課外活動と言った、困難だけれども楽しい体験を継続して与えることでも「やり抜く力」が伸びるといいます。その結果として、多少のことでも労を厭わなくなり、継続する力がつくからです。
なにも子どもたちばかりではなく、親も同じように厳しい目標を立てて共に達成を目指すことも必要になります。厳しい目標をクリアしていくことは、貪欲さを生みます。
また、人が大きく変わる条件としてわかりやすいものに、たとえば成績の強いスポーツチームに属するということもあります。やり抜く力の強いチームは、結果をだしているからです。
3.本から学ぶ、3つのキーワード
1)「2倍の才能があっても、1/2の努力に負ける」
努力家は、物事を継続していくうちにスキルにつながるような行動を起こしていきます。
それを才能でカバーする人もあるでしょうが、努力によって才能はスキルになって、スキルは努力によって活かされます。
2)「ウォーレン・バフェットの目標達成法」
1 - 仕事の目標を25個、紙に書き出す。
2 - 自分にとってなにが重要かをよく考え、もっとも重要な5つの目標にマルをつける(5個を越えてはいけない)
3 - マルをつけなかった20個の目標を目に焼き付ける。そしてこれらとは今後かかわらないようにする。
この目標達成法は、自分自身の持つ人生の目標の高さをあぶり出しつつ、本当に何をして生きたいのかを見つけるヒントになります。
3)「意図的な練習」
単に時間だけをかけた練習では、思い通りの効果や成果は出ません。
そのために必要なことは、つぎの3つ。
1 - 高めの目標を掲げる
2 - 努力を惜しまずに集中して、目標の達成を目指す
3 - カイゼンすべき点を見つけたら、何度も繰り返し練習する。
この3つが成果へとつながります。
4.本から実践、ひとつの行動
『自分の目的を書き出す』
ウォーレン・バフェットの目標達成法に倣って、自分自身がどうなりたいのか、何を目指しているのかを書き出してみて、そこから見えるひとつの大きな目標をあぶり出してみます。
5.ご紹介した本の情報
6.スギコラム(読後感想)
昨年下期に刊行されて以来、いまだに息の長い売れ方をしている本書ですが、本当にひとことで言ってしまえば「自分の目的をはっきりさせて、正しいやり方を見つけたらそれをカイゼンしつつ継続しなはれ」ということなんです。
なぜ誰もそれができないのかといえば、移ろいやすい心を自制することができずに、今よりちょっとよくなりそうなものを無目的・無意識に選び続けるからなんですよね。
そこで自分自身の目的(ここでいう目的は、ライフワークにまで昇華します)を、はっきりさせてさえおけば、移ろう心と目の前の選択肢をつねにてんびんにかけ、より良い生き方を選ぶことができるんですよね。
つまり、「やり抜く力」を身に着けたいのなら、まずはあなたがナニモノでいたいのですか?どんな生き方で世の中に貢献していくのですか?ということが芯になければはじまりませんな、ということでした。