子どもの自立を促すために、親として大切なことはその子の「才能に気づけるかどうか」です。

単純に才能に気づくとはいっても、ピンポイントで専門分野を会得していて「うちの子はそれに合致する!」というようなことはまずあり得ません。

ではどういうことかというと、その子のセンスに気づいて、そのセンスを実力に変えていくための物心両面での環境を整え続けることにあると考えます。

これを「才能の目利き」と捉えます。

簡単に子どものために物心両面での環境を整えるといっても、たいていは普通の親です。

子どもの才能を開花させるための道筋をうまく立てられることなんて、普通の親には難しいことですし、なにより素人です。

でも、素人なりにできることはあり、素人ゆえに自らも学びながら子どものための環境整備をしていくことが親子の成長につながる、ひいては個としての人生が親にも子にもそれぞれに実りあるものにつながると考えます。

プロ野球のイチロー選手と父・宣之さんの関係とその名実は、まさにこれでしょう。

会社経営をしながらも、息子と野球をする時間を日課として取り入れることは尋常ではありません。

息子との野球の時間を尊重し、一般的な経営者が時間を費やす会社の意思決定やお客さまとの接待をうまく調整していきます。

他人から見れば、経営者として、父親としての宣之さんの行動は異常です。

しかし、異常であっても本人の意志が固く、我が子の才能を伸ばすために必要と考えた宣之さんはそれを徹底します。

そしてその決心は、幼いイチロー少年にも言い聞かせていたのです。

「他の人の言うことは気にしない」と。

父親が整えてくれた環境で、自らがやりたいこと、楽しんで没入できることに取り組めることはなによりもしあわせなことでしょう。

イチロー選手はその経験があってこその現在の地位を不動のものにしていますが、それは宣之さんがイチロー選手への「才能の目利き」があったことと、それが実を結んだ結果といえるでしょう。

すべての親子がイチロー選手と同様の環境と結果が出せるとは限りません。

しかし、子どもは親がしてくれたことに感謝をし、親も子どもに対して夢を叶えるための道筋を整えるための「子育て」をすることが、いざ親離れをしていく子どもたちが本当に「自立」して、今度はその子どもたちに対する恩返しにつながっていくのではないかと考えるのです。

子育てのゴールは「自立」であり、そのために親は「才能の目利き」が求められる。

「才能の目利き」は、我が子に対してだけではなくて、孫やさらにその先の子孫への「恩送り」のきっかけのひとつかもしれません。