『スーパーマリオブラザーズ』の生みの親で知られる、任天堂株式会社の宮本茂さんがいらっしゃいます。

宮本さんのものづくりには、娯楽としてのゲームという側面の奥深くに、機能性や効率的といった「プレイヤーが気づかない、かゆいところに手が届く」気づかいがたくさん含まれています。

たとえば、説明書を見ずにゲームをスタートしたとしても、それなりにストレスなく遊べるようなチュートリアルがゲームの冒頭に用意され、それだけでゲームの全体観を瞬時に理解させるようになっています。

また、難易度の高い場面であっても、解決のためのちょっとした気づきを得た瞬間に謎が一気に解けて、ゲームが飛躍的に進行していくという問題解決の気持ちよさが盛り込まれています。

このバランスが、本当に気持ちいいのです。

宮本さんのこうしたものづくりについて、昨年亡くなった岩田聡さん(任天堂株式会社 前社長)は、こういうふうに説明されています。

『悩んでいる問題ひとつを解決すると、それ以外のみっつ、よっついっぺんにきれいになるそれのことを「アイデア」という。宮本さんはそれをいつも考えている』

と説明されました。

なるほど、ひとつの問題解決で複数のメリットやベネフィットをもたらすそれを『アイデア』と語られるこの定義に、私はとても共感したのです。

まず、なにが問題なのかをきちんと見極める審美眼を備えていることが問題解決のための大前提なのは言うまでもなく、そしてそれを解決する、しかもひとつの問題解決で複数の効果・効率を得るという脳の中に広がる「点」と「点」をどれだけ太いシナプスでつなげていくかということを考えるとするならば、知識、体験、経験から得る「点」が多ければ多いほどより精度と確度の高い問題解決が図られるのでしょう。

世界に名を馳せるゲームデザイナーは、『アイデア』を創造し続けた結果として多くのゲームと自らの名前を世界に残すことになったのですね。

そして、この『アイデア』の定義については、岩田さんが宮本さんを観察し続けた結果として言葉で表現されたものなのですが、それを受けて宮本さんもまた、自分が突き詰めている『アイデア』の本質について分析されています。

これもまた面白いお話になるので、明日に譲ることとします。

【出典】

『任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら聞いたのだ。』
(ほぼ日刊イトイ新聞)

https://www.1101.com/iwata/