これまで多くの経営者や管理職と話をし、働きかたとライフワークについて感じたことをつづる「スギ式ビジネス理論(SBT)」

今回は、こんなお話です。

そのお店は、いつもいつも新商品の開発に追われていました。

「この流れは昔から続けてきたもの。定期的に四季折々のメニューを提案しなければ、お客様に飽きられてしまいます」

個人で営んでいらっしゃるラーメン店は、たしかに足を運ぶごとにあたらしいメニューを見かけるのがもはや当たり前となっていました。

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[SBT]商品開発に力を入れすぎると、見失うものがある。

「店長のお店は、シーズン商品のサイクルをどんなふうに捉えていらっしゃいますか?」

「うちは春・夏・秋・冬で分けていて、季節が変わる1ヶ月前をめどにあたらしいメニューを投入するようにしているよ」

「そうするとやはり、年中ずっとあたらしいメニューを考えているような感覚ですか?」

「そうなんだよね。いろいろ試してみたい食材もあるし、気になるよそのお店のメニューを再現してみたりもしたいしね」

「商品開発も大変ですね」

「そりゃスギさんだってわかってるだろう」

「ええ、そりゃまあ」

 

お店の定休日をほとんど設けることなく、日々の営業を続けながらきちんと季節の変わり目には商品を提供され続けていることはよく知っています。

ポリシーとして決めたことを貫いていらっしゃる姿勢には学ぶところはあるのです。

 

「ところで、店長はあたらしいメニューを開発するときに、どんな点を次回のメニューのために参考にされますか?」

「常連の人には、おいしいかどうかを聞いてみてるね」

「評価ってどんな感じですか?」

「まあ、気を遣ってくれているのもあるかもしれないけど、概ね好評かな」

「それ以外の評価は?」

「ネットに書かれてたりするのかな? あまり意識していないけどね」

 

店長はネットの情報を活用するスキルはどちらかというと高いほうで、もちろんお店の評価もその気になれば多く収集できるだけのリテラシーをお持ちです。

私が直近でみたネットの評価にはこんなふうに書かれていました。

 

「定番のラーメンがブレている、って書かれてたのを見ましたよ」

「それって、にわかなお客の評価なんじゃないかな。なにも変えていないよ?」

「とはいえ、定番のラーメンがブレているというのは、新参や数回程度の人なら書かない書き方ですよね」

「うーん・・・」

 

店長はそういうと考え込みながら、タバコに手を伸ばします。

 

「心当たりがあるとすれば、食べ残しが気になるかな」

「それは、厨房に戻る食器の中身ですか」

「うん、そう」

「一風堂の創業者の河原成美さんは、食べ残しの量でお客様の満足度をはかるとおっしゃっていたのを聞いたことがあります」

「そういうものなのかね」

「そこで残された理由をどれだけ思いつくかが、商品開発と同じくらいに大切かもしれませんよね」

 

ともすれば、あたらしい商品を出し続けばお客様に満足してもらえると思い込みやすいのが、飲食業の経営の難しいところです。

実際は、定番の商品をきちんとブレなくつくり続けることでファンが定着するのに、それよりもあたらしい商品にこそ魅力があると思い込んでしまう飲食店が経営につまづくのを何度となく目撃しています。

飲食店を創業しても1年後には半数のお店が閉店している裏には、商品ありきのビジネスモデルに成功を信じているまやかしがあるのです。

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