企業が成長していくうえで「全体最適」を求められることはしばしばあります。
そしてその対義語となる「部分最適」という言葉も、その意味も含めてビジネスシーンに浸透してきているように感じます。

本書『会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント』では、全体最適化の本質はなにか、日本企業の経営課題が20年前と何ら変わらないのはなにかをフォーカスしていきます。

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『会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント』石原正博

まず本書では、「部分最適」という言葉の定義を次のようにしています。

「会社の方針、人、組織、仕組み、システムなどあらゆる経営資源が、限られた範囲や部分では最適であるが、会社全体として見れば何ら貢献せず不最適である、もしくは悪い影響を及ぼすこと」

人材しかり資産しかり、なにより時間も含めて考えると、企業の成長戦略を立てて実行に移していくには悠長にしている余裕はないでしょう。しかし、20年前と現在を比較して、企業が抱えている経営課題はほとんど変化がないのです。

「収益性の向上」「売上シェア拡大」「人材強化」・・・。

これらが同じスパイラルの中でもがき続けているのは単に、改善したことや経営のためにと行動したことが部分最適でしか成り得ていないからといえます。

ではそこから脱却して、経営資源を最大限に活用するために企業が、もしくは経営トップがすべきことはいったいなにか。

本書では、「ビジョン、仕組み、人をつなぐこと」と定義しています。

これらが整うと、企業が目指すビジョンが具現化し、多くの社員に「伝わるビジョン」として響いていきます。

ここからが企業の全体最適化のはじまりです。

最終的には経営トップが「夢」や「志」を高く持って、それを叶えるために企業としてのあり方を築き上げていくことにほかなりません。

これらが明確でなければ、その下で働く社員たちの目に輝きがうまれません。

「全体最適化」は「点」を「線」でつないで「面」にしていく、著者はそうイメージしています。

その「面」がクリアで広大な企業こそが、他の企業がもが気苦しんでいる経営課題の解決に到達して企業の発展をつかむことでしょう。